Randy Pausch

ランディ・パウシュ教授は、あの有名なカーネギーメロン大学コンピュータサイエンス教授。
実は最近知った方なのですが、彼の言葉を聞き、本当に心を揺さぶられるという経験をしました。

パウシュ教授は、pancreatic cancer(膵臓癌)に侵され、2007年8月の段階で、「健康な生活ができるのは残り3〜6ヶ月」と診断されました(今日現在も闘病中)。pancreatic cancerといえば、一時期Steve jobsも侵されていた病。癌の王様とも呼ばれているほど、たちの悪いやつです。

今話題になっているのが、The last lecture(最後の授業)という、2007年9月18日にカーネギーメロン大学で行われた講義で、前述の「宣告」から約1ヶ月後の話。基本的には、「もしこれが人生最後の講義だとしたら、どのようなメッセージを伝えたいか」というテーマで行われているものなのですが、パウシュ教授の場合はまさに文字通りのものとなってしまいました。そんな想像を絶するような状況の中、パウシュ教授はあくまでポジティブに、冗談を交えながら夢を実現することについて語ります。

講義のタイトルは、「Really Achieving Your Childhood Dreams」。

直訳すると、「子供のころの夢を本当に(実際に)実現するには」という感じでしょうか。

なぜここまで今注目を集めている講義なのかというと、やはり彼の言葉に含まれる、メッセージの真実味だと思います。実際に数ヶ月の命と宣告された人間が、「最後まで一日一日を楽しむだけ。単純にそれ以外に方法は見つからない」と笑顔で語る姿には、体が凍ります。人生には、コントロールできるイベントと、できないイベントがあります。パウシュ教授の場合、このコントロールできること、つまり実際の治療をどうするか、日々の生活をどう生きるかのみに集中していることがはっきり伝わってきます。コントロールできないことに関して、ジタバタしたり、絶望したり、そんなそぶりもありません。一言、こう言ってきそうです。

「絶望している暇はない」と。

ただ長く生きることでなく、どうよりよく生きるのか。パウシュ教授にはあまりにも残酷な結末ですが(というのはまだ早いですが)、彼の講義(本来は自身のお子さんが大人になってから見せたいという目的だったようです)によってどれだけの人が勇気付けられることになるのでしょうか。

私の場合も、たまたま30才の誕生日の夜にこの講義を聞き、今まで曇っていた心の中が一気に晴れ渡ったような気分になれました。同様のメッセージは、さまざまなスピーチ(有名なスティーブジョブスのものなど)や書籍でも繰り返しインプットはされていました。しかし、今までは「そのとおり!」と思っていながら、実際何の行動にもつながってはいませんでした。今回は、実際の行動へと繋がりつつあります。

本当に残念なのは、これを節目、きっかけとして、将来よりよい人生をおくれているとして、その際にどう願っても本人にお礼を伝えることができないことです。

まだこの講義を見たことない人がいましたら、ぜひこちらから(日本語字幕つき)。

一方、パウシュ教授自身が、実は本当に誇れると言っているレクチャーが、Time Managementに関する講義で、こちらもネットで見られます(これは英語版のみのようです)。内容は、たまたま私も再読していた本と同様のメッセージで、そういう意味ではユニークなものではなく、普遍的なものですが、
彼バージョンは非常にパーソナルで、直に響いてきます。

Randy Pausch's Web Site
Randy Pausch's Update page
The Last Lectureのスクリプト(英語:pdf)
The Legacy of Randy Pausch(その他の動画が見つかります)

なお、書籍版は以下より。

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

The Last Lecture

The Last Lecture