荒野へ

荒野へ (集英社文庫)

荒野へ (集英社文庫)

もし自分をものすごい機械で、超濃密に濃縮したら、
ひょっとしたら自分も陥ってしまうかもしれない、
そんな恐怖すら感じさせる。
若い頃の自分があこがれてしまうような、危うい世界感。

自然って、本当に底知れないほど綺麗だなあと、度々感じますが、
その奥なのか、向こう側なのか、実は目の前にあるけど見えないのか、
自分の理解を超えた深みのようなものがある。
多くのホラー映画に見られる、圧倒的な怖さも内在している。
自然っていいなぁと思う反面、時には、実は自分の存在なんて簡単に扱われてしまうのではという感覚。
それだからこそ、深く惹かれる人が多いのだろうとは思いますが。

もっと若い頃に読んでいたら、ひょっとしたら一歩踏み込んでしまっていたかもしれない世界。
さすがに、この年になると、その一歩を踏みとどまることができますが、
それがいいことなのか、どうなのか。

本書、実は大学時代に手を取った記憶があり、そのころちゃんと読んでいたら、
ひょっとしたら人生が変わっていたかもしれないなぁと、ぼんやり思ったり。

実は映画にもなっているらしい。
ちょっと探してみないと。