The Biology of Belief: Unleashing the Power of Consciousness, Matter, & Miracles

The Biology of Belief: Unleashing the Power of Consciousness, Matter, & Miracles

The Biology of Belief: Unleashing the Power of Consciousness, Matter, & Miracles


「思考は現実化する」といわれるが、本当?という問いに対して、
科学的に「Yes!」であると答えているのが、本書。


細胞生物学者である著者は、細胞とはDNAにコントロールされるのではなく、
環境、結果的にその人の意識に大きく左右されると語る。
遺伝が大きな役割を果たしていると考えられている癌であっても、
実際に遺伝が原因というのは5%程度であるとか。
多くは、遺伝の効果を信じてしまっていることに由来しているとか。


本書のキモとも言えるのが、偽薬の話。


偽薬の効果はいろんなところで聞きます。
この前、この本の話、そして偽薬の効果の話を妻にしたところ、こんな話を聞きました。


某国の軍隊では、専属の医師がついているのですが、
頭痛であれ腹痛であれ、ある一種類の薬をどんな症状でも処方するように指示されているとか。。
すごいのが、それでもちゃんと効果があり、一通り直ってしまうとか。
一国の軍隊が、偽薬の効果をしっていて、それを実践しているのは興味深いところです。


この偽薬、上記のような薬の世界ではよく聞く話ですが、
本書には、外科においても偽薬に効果があったとの、ちょっと驚きの報告も書かれています。


外科手術には偽薬効果はないと信じているあるお医者さんが、
自分の手術のどの部分が効果的なのかを実験したと。
同じひざの問題を抱える患者にたいして、手術を行う内容を変えて、効果を比べてみようと。
その中の一グループには、切開するけど、何もせずに傷口を閉じるというグループも入っていました。
もちろん、このグループに対しても、実際に手術をするかの如く、
まったく同じ手順(手術中もそれらしい音を患者に聞かせたり)を行いました。
単純に体を傷つけられただけなので、まあ普通に考えて、いいことがあるとは思えません。


ところが、結果がすごくて、切開しただけで何も治療しなかったのグループも、
他の実際に手術をうけたグループと同じ効果が見られたと。
つまり、手術によってひざが治ったのではなく、「手術をしたと思ったこと」により治ってしまったと。
うーん、まさに偽薬の効果。
自分の手術のスキルが何も意味を持っていなかったと知り、この医者は愕然とするのですが、
それにしても、病は気の持ちようとはよくいいますが。。
外科の世界でも当てはまるというのは驚きます。


逆に、こんな話もあります。
あるヘビースモーカーのお医者さん、肺がんが見つかったらショックだからと、
長い間、健康診断を全く行っていなかったとか。
同僚のすすめで、しぶしぶX線で診断してみたら、肺がんが見つかり、
翌月には亡くなってしまったと。
その同僚の医者が20年ほど前に撮られていて保管されていた彼のX線写真を見ると、
なんと同サイズの肺がん細胞が見つかったとか。
20年も知らずに普通に生活できていたのに、肺がんという事実を知ってしまったが為に、
急に倒れてしまうと。。一般論化はできないのでしょうが、
でも、よくお医者さんが「あとは、患者さんの生きたいという強い意志しだいです!」
なんてことを言うじゃないですか。ドラマだけなのかもしれませんが、
あれにはやはり、気休めではなく、人間の意志の力による効果が認められているからかもしれません。


引き寄せの法則のように、外部環境までの影響は語っていませんが、
本書によると、どうやら人間の思考というのは、少なくとも自分の体に対して強力で、
直接的な力があるというのは、確かなようです。
なんとかして、自分を信じ込ませれば、潜在意識のレベルで「事実だ」というレベルで思うことができれば、
自分の体、生物的な部分は意識的に制御できると。


もちろん病気を気力で治すなんて話だけではありません。


人間の活動の大半は実際は潜在意識によってコントロールされているのはよく知られています。
車の運転なんかは代表的な例で、最初は意識的にやりますが、慣れれば潜在意識の仕事となります。
そういう意味では、人間の呼吸や、歩行など基礎活動も入ります。
ただ、もっと重要なのは、恐怖に震えたり、緊張して萎縮したりなど。
こういうことも潜在意識が勝手にやっていること。
多くの人が悩んでいて、そして意識的には制御できないと思われがちなことも、
意識の力で制御できると。これほど前向きで元気になる事実があったでしょうか。。


一流スポーツ選手なんかは、上手く潜在意識をコントロールしているのでしょう。
逆に、非一流だと、緊張に本来の力を発揮できなくなったりしてしまうと。
潜在意識をいかに、自由に且つ完全にコントロールできるかがキモ。
そして、繰り返しになりますが、本書は意識によって潜在意識をコントロールできると。


昔、アイルトンセナが大好きだったんですが、当時どこで読んだかは忘れましたが、
彼がすごく敬虔なクリスチャンで、レースの前後に、レースカーの中で祈りをささげると聞いたことを覚えています。
祈ることで、恐怖や緊張など、レースの障害になるような精神状態を正していたんでしょうか。
だとすると、あれも、意識的な潜在意識の制御だったのかなぁと思えてきます。


夢を描いたり、将来設計を行う意識と、忠実に体の動作を制御する潜在意識。
そして、本書が語る、それぞれのつながり。人間って、本当によくできています。


今年では抜群の一冊でした。再読必須。。